2009年2月18日水曜日

「一粒で三度おいしい」

 その昔、誰もが知っていたアーモンドチョコレートの広告コピーは「一粒で二度おいしい」でしたが、ワインに関しては二度どころか三度、ことによると四度、五度とおいしいことがあります。これこそはワインが生き物だと言われる証拠であり、他の嗜好品にはないワインの大きな魅力です。僕がワインをあたかも人であるかのように扱って「友だち」だなどと表現する理由もそこにあると言えるかもしれません。
 ワインは一瓶で何度もおいしい。
 この言葉が意味するところは、ワインという飲み物は、栓を開けてすぐと少し時間が経ってからでは味も香りも変化することがあり、その変化がまたワインの魅力だということです。ワインは白でも赤でも発泡でも、一度抜栓されて空気に触れると、その瞬間から酸化し始めます。たいていのワインは、開けたては固く閉じているのが、時間とともに少しずつ開いていき、香りも味わいも増して、やがてピークを迎え、また次第に魅力を失っていくという経過を辿ります。このピークに至る時間はワインによってまちまちで、抜栓後30分というものもあれば、数日かかるものもあり、それが事前にはわからないのが、ワイン飲みの楽しみであり、同時にリスクだとも言えるのです。
「閉じているものが次第に開く」とか「やがてピークを迎える」などというと、あたかもピークまで待って一気に飲めと言っているように聞こえるかもしれませんが、そうではありません。飲み手を感動させる良いワインというものは、ピークで素晴らしいのはもちろん、開けたてにも固いながらに魅力があり、ピークを過ぎた後でさえわれわれの心をとらえる趣があるものです。この点は、もともと日本料理における「はしり・さかり・なごり」を楽しむセンスを持っているわれわれには理解しやすいことではないでしょうか。

(本稿はここでいったん非公開にします。ここから先は、本になってから読んでください。ご愛読に感謝!)

1 件のコメント:

  1. むむむ! ここに来てじらしですかっ!

    でも、楽しみにしてますよ!

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